離婚について

今回は家庭内での問題「離婚」についてです。

Q
実は夫との離婚について考えているのですが、いろいろと思うところがあり、なかなか踏み出すことができません。まずは何から考えたら良いのでしょうか?(熊本市女性 43歳)

A
l はじめに
離婚を決断し、これから先別々に生きていくほかないと考える相手に、自分の言い分を伝え、調整し、時には闘うというのは、本当に大変なことなのです。
離婚に伴いたくさんのことを決めなければなりませんし、周囲の人(両親や子どもなど)の思惑も一定程度考慮しなければなりません。それに加え、当然日常生活を過ごさなくてはいけませんよね。仕事があればそれをこなす。特に女性の場合、お子さんがいれば、どんなに心が苦しくても、家事育児は待ってくれません…。当たり前ですが、通常よりかなりのエネルギーが必要です。

2 離婚事件雑感
離婚にまつわる相談を受けると、「もう、吹っ切れました」とおっしゃる方でも、胸を熱くし涙を流す場面に出合います。これまで夫婦として苦楽をともにしてきたパートナーとの決別ですから、そうした反応は当然だと思います。
離婚事件における弁護士の仕事は、依頼者の方が自分自身で選択ができるように、事柄を整理し、共感し、励まし、背中を押すことだと思っています。

3 離婚における整理の仕方
何を考えるべきか、もう、悩みの渦の中にどっぷりはまってしまって、先が見出されない気分かも知れません。
ですから、まず深呼吸をする。それから、(1)住む場所、(2)これからの生活の糧、(3)両親等の精神的援助…といった、自分の今持っている資源を考えるようにしましょう。
次に、それを補うものとして、離婚に伴い相手方から慰謝料、財産分与、場合によっては養育費をどの程度もらえそうかなどを検討します。
その際、『最低限これくらいは欲しい』『もらえて当然だ』という感情的な希望ではなく、自分の事案(離婚する理由や夫婦それぞれの離婚後の生活状況など)では、現実的に相手方から何をどの程度もらえるのかをシビアに見つめることが重要です。
そして、その実規可能性の程度によって、自分の今後を具体的に予想し、事案を整理。現実的に相手方から何をどの程度もらえそうかを検討する際には、法律や判例の理解が不可欠です。ここに弁護士の出番があると思います。事件を依頼する依頼しないにかかわらず、一度は必ず法律のプロである弁護士に相談するべきなのです。

4 話し合い→調停→訴訟
また、当事者間で話が付けばよいのですが、調停、訴訟へともつれた場合は、訴訟の時点で弁護士に依頼するのが一般的だと思います。事案によっては、調停の時点から弁護士に依頼した方が良い場合もあるため、離婚に関しても早めにご相談いただける方がいいですね。

5 おわりに
どんな場面でも、大切なのは、自分で決めることです。自分の人生ですから、自分で責任を持つ。常識ではあり得ないことや、許せないことにぶつかることも 多いと思います。納得いかないこともあるかも知れません。
それでも、どんな状況であっても『今の状況下で自分にとってのベストは何か?』をとことん考えること。そして、自分で選択する、それが一番大切なことだと思います。同じ境遇でも、考え方や最終決断は人それぞれで、正解はないのですから。
皆さんが困難に対峙したときに現状の問題点を整理し、ベストの選択を行いやすい状況を作るのが私たち弁護士の仕事。気軽にご相談いただけることで、きっと力になれると思います。

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奥田・二子石法律事務所 弁護士 奥田竜子