プロフェッショナル

先日、二女の小学校入学式でした。
約10年間通った保育園ともお別れ、なんと、自分で小学校へ行って自分で帰ってくる、という夢のような子育て第2ステージに突入です。
3番目なだけあって、なんだか、小学校に対する緊張感といったモノが一切感じられないけれど。。。まあ、毎日楽しく行ってるから、いいのかな。。

ところで、その、記念すべき入学式での出来事。

私は看護師をしている近所の仲良しママと一緒に列席していたのですが。。

式典の最中(PTA会長のお話の最中だったかな?)に、なにやら「ばたん!」と音がして、体育館後方がざわざわ。。
どうやら保護者の方のひとりが、体調を崩し、気を失って倒れてしまったようなのです。
音がして「なんだろう」と私たちが振り返り、誰かが倒れたらしいと認識するかしないかくらいの、その瞬間、隣席のママが「行ってくる!」と鋭く小さく言いおいて、素早く席をたち、手に持っていたビデオを私の膝に置いて行ってしまったのでした。
風のように。

ざわついた中、担架が運び込まれ、私の友人ママも一緒に付き添って体育館から出て行ってしまいました。
我が子の入学式という場面でも、看護師として当然のように行動した友人ママに感動していたところ。。。
「1年1組、○○くん、前にあがってきてください!」彼女の息子さんの名前が体育館に響き渡りました。
「えっっ?」と前方を見ると、真新しいランドセルに黄色い帽子をかぶった彼女の息子さんが、帽子やワッペン紹介のモデルとして、にこにこ笑いながら壇上へあがっていたのです。ああ、それで彼女はビデオを持っていたのね!!と、私はせめて私に出来ることを、と、膝にあった友人のビデオを慌ててセットして、彼の勇姿をお母さんに代わってなんとかビデオにおさめたのでした。彼女が戻ってきたのは、その後。息子の勇姿を見ることはできませんでした。

幸い倒れた保護者の方は大事には至らなかったようです。よかった。
で、なんだかね、友人ママの行動に、深く感動し、いろいろ感じさせられたわけです。
入学式に列席するのみならず、カワイイ息子の晴れ姿のためにビデオをスタンバってたにもかかわらず、優劣もなく、なんの躊躇もなくビデオをおいて、倒れた人の元に駆け寄り、付き添った友人ママ。
そこには、普段私が見たことのない看護師としてのプロの顔がありました。
プロフェッショナル。揺るぎない、絶対の安心感。

ああ、すごいな、かっこいいな、と心から思ったのです。

弁護士像はいろいろあれど、私のプロフェッショナルはどこにあるんだろうか。彼女のように、ちゃんと、身体に染みついているだろうか。
振り返って考えて、身の引き締まる思いがしました。

ローマは一日にしてならず、じゃないけれど、日々の行動や気持ちがプロフェッショナルを作るんだと思います。
一日一日、一瞬一瞬を丁寧に、心を込めて。


思い返せば、弁護士になって初めてのたったひとりでの法律相談。
80歳越えのおじいさんから50年ほど前の出来事についての相談を受けました。
うまく要点を聞き出すこともできず、おのずとそのおじいさんの生きてきた歴史に耳を傾けることになり、時間はすぎていく、すぎていく、すぎていく。。。。。
30分の予定が、1時間を超え、2時間を超え、、、途中、おじいさんの歴史に一緒に泣き、笑い、、、、、
「聞いてくれてありがとう」とすっきりした顔で帰られました。

相談終了後、ベテラン事務員さんからひとこと。
「・・・・法律相談じゃなくて、人生相談みたいやったね・・・。」

確かに(笑)。プロフェッショナルとは言い難い記念すべき第1回。

あれから10数年。酸いも甘いも、おかげさまで経験を積み重ね、ずいぶん成長したと思います。
でも、あの、記念すべき第1回目の法律相談、もとい人生相談が、依頼者の言葉に耳を傾け、依頼者に寄り添って仕事をする弁護士でありたい、という私の弁護士像の方向性を決定づけてくれたような気がしています。

依頼者に寄り添い、頼もしく、力強い弁護士でありたい。
私なりのプロフェッショナルな弁護士を目指して、これからもずっと成長し続けたい、と考えています。

それにしても、こうちゃんママ、めちゃめちゃかっこよかったよ!!!
なんか、心の奥の方が、感動して、涙が出たよ。