離婚三種(協議と調停と裁判と)

今回は、離婚の三つの種類(協議離婚・調停離婚・裁判離婚)についてです。

Q.
年末のクリスマスも押し迫った12月、急に夫から好きな人が出来た、別れてほしいと言われました。
理由はともあれ、夫との結婚を精算することはかまわないと思っています。当事者間で離婚届けにサインすれば離婚は成立すると思うのですが調停をしておいた方がいいという話もよく聞きます。でも、調停離婚といっても、イメージがわきません。調停離婚と協議離婚とでは何が違うのか、調停期日の雰囲気や進み方等について教えてください。また、調停には私の母も同席することが出来るのでしょうか。

A.
離婚には大きく分けて、3種類あります。1つは当事者間の話し合いで、離婚届にサインして提出するだけの協議離婚。調停離婚と、裁判離婚は家庭裁判所を利用します。

1.協議離婚とは
もっとも迅速かつポピュラーな離婚です。離婚届に夫婦双方がサインをして、役所に提出することで成立する離婚方法です。役所に備え付けられている定型の離婚届出用紙には、離婚に合意する旨の署名と親権者の指定の欄しかありません(なお、この4月から離婚届に子どもの養育費や面会交流を話し合ったか否か記載する欄が設けられています。)。養育費や、慰謝料等金銭の支払いを合意した際は公正証書にしておくとよいでしょう。ちなみに、公正証書とは、公証人の面前で夫婦間の離婚に伴う合意内容を証書にまとめるもの。手数料はかかりますが、金銭支払について万一の場合に効力を発揮します。

2.調停離婚とは
(1)家庭裁判所で、夫婦双方が男女各1名からなる調停委員を交えて話し合いを行い、期日において離婚に合意する方法です。夫婦間に広く紛争状況が認められる場合の類型として「夫婦関係調整調停事件」という申立をします。離婚の場合にとどまらず、夫婦円満に向けての話し合いで利用される場合もあります。調停の申し込みをする方を申立人とよび、反対当事者を相手方と呼び、一般的に、相手方の住所地を管轄する裁判所で調停が開かれます。

離婚においては、いきなり訴訟をおこすことはできません。本来話し合いで解決することが妥当であるとの理由から、原則として、一旦調停を経る必要があります(これを調停前置主義といいます)。調停の場には、代理人としての弁護士のほかはたとえ親兄弟であっても同席することは出来ません(小さな子どもさんは別です)。
調停委員は当事者それぞれから話を聞きますので、夫婦が同じ場で相手方と顔を合わせながら意見を述べあう必要はありません。
 
(2) 調停期日で離婚その他の諸条件について合意ができれば、その内容を記載した調停調書を作成します。親権者のみならず、養育費や、慰謝料、財産分与等の金額、支払い方等を調書に記載することで、公正証書と同様の効力を付与できます。

3.裁判離婚とは
調停で合意できない場合(離婚すること自体に合意できない場合のみならず、離婚に伴う諸条件についての合意が難しいとき)、調停は不成立に終わります。裁判離婚とは、このような場合に、離婚を望む側が原告となって提起した離婚訴訟で家庭裁判所から離婚を認める判決をもらうことです。

裁判離婚が認められるためには、原告側において、民法上定められた離婚原因を主張、立証し、裁判所に認めてもらうことが必要です。不貞の事実や、暴力等の事実があれば、それを証拠化しておくとよいでしょう。なお、訴訟になっても、裁判官を間に話し合いを行い、判決ではなく和解で離婚を成立させる方法もあります。いずれにせよ、裁判離婚の場面では、訴訟手続上の取り決め等もありますので、弁護士に相談されるとよいですね。

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奥田・二子石法律事務所 弁護士 奥田竜子